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昭島駅南口から江戸街道を立川方面に10分ほど進んでいくと、左手に昭島市役所・昭和町分室が見えてくる。この建物の2階部分が昭島市郷土資料室として整備され、一般に公開されている。
アキシマクジラで有名な昭島市では、林ノ上遺跡(同市緑町4丁目)や上川原遺跡(同市上川原1・2丁目)など、縄文時代早期(約9000年前)から人の生活の痕跡が数多く見つかっている。郷土資料室ではこれらの遺跡と共に、市民から寄贈された昭和に使われていた農具や生活用具、玩具などの民具類を展示し、古くからの郷土の歴史と文化を紹介している。
室内は縄文時代から古墳時代、奈良・平安から中世、近現代へとそれぞれの時代を辿るように展示されており、土器・石器類の展示では発掘時の様子などがパネルでも説明されている。各時代によって土器の厚さや色味、装飾などが異なっており、製作技法の移り変わりが見て取れる。また一角には縄文中期(約5000年前)の西上遺跡(同市中神町1丁目)から出土した土器が約20点並べられたコーナーがあり、こちらはガラス越しではなく、間近でその姿を観察することができる。
近現代の展示では、今ではあまり見かけることもなくなった生活用品がズラリと並べられている。氷で冷やす木製の冷蔵庫や火を灯すランプ、蚊の進入を防ぐ蚊帳、大きな籠を乗せたリヤカーなどなど。すべて源動力は人力。これらの物が少し前まで当たり前に使われていたのだと思うと、しみじみと先人たちの苦労が偲ばれる。
なお、資料室には市内の小学生たちも授業で見学に来るそうだ。今の子どもはこれらの物を「全く知らないのでは?」と思ったが、意外にも映画「ALWAYS 三丁目の夕日」などで多少なじみがあるのだとか。
また、当時の居間を復元した一角では実際に畳の上に上がることができる。座布団の前には小さなちゃぶ台、傍らには木製のタンスや柱時計、黒電話などが置かれており、どこか懐かしく、ほっとする空間だ。
農具のコーナーには、明治から昭和初期にかけて市内でも盛んだったという養蚕具があった。かつての昭島は一面に桑畑が広がっていたとは想像もつかない。
■昭島市郷土資料室 (昭島市昭和町1-6-11)
開室日時/毎週水・土・日曜日の12時〜16時(年末年始は除く)
問合せ/昭島市役所社会教育課文化財担当 TEL:042-544-5111
(2014年10月掲載) 地図
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