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モノレール柴崎体育館駅下車徒歩12分。立川駅方面に少し坂を登って左に延びる道を入る。そのまま10分ほど進むと「臨済宗建長寺派屈指の名刹」、普濟寺にたどり着く。
普済寺は、南北朝時代前期の1353年(文和2年)の開創。当時この地一帯を領有していた立川氏が開基(かいき)し、その一角に一族の菩提寺として、一宇(建物)を建立したことが始まりという。国宝「六面石幢(せきとう)」があることでも有名だ。
正門左手には巨大な灯篭がそびえており、少々圧倒されながら中へ入る。参道を進んでいくと、右手には立派な鐘楼があり、正面の趣きがある造りの楼門をくぐり、太鼓橋を渡ると幅の広い立派な本堂が見えてくる。この本堂は、1995年(平成7年)の放火により消失したため2004年(平成16年)に再建されたものだ。
本堂右手には、高さ約2b、長さ約40bの土塁が残っている。本堂前の案内板によると都指定史跡「立川氏館跡」だそうだ。土塁の上には2本のイチョウの大木が生えていた。本堂近くには池があり、水路も流れている。そこに架かる石造りの太鼓橋や観音像を眺めていると、ちょっと庭園を散策しているような気持ちになる。
国宝「六面石幢」は本堂裏の残堀川側にひっそりと安置されていた。
1361年(延文6年)に物外(もつがい)和尚の弟子・性了と道円が制作したもので、六角形の基台石上に板石6枚を柱状に組み合わせ、その上に笠石をのせた六角の石幢だ。
高さ166cm、各面の幅42cm。塔の各面には精密な仁王像と四天王像が薄肉彫りされている。鉄格子の施されたガラス越しにしか見ることはできないが、近づいてよく見ると彫刻は真に精巧なものだ。ぜひ直に見ることをお勧めしたい。
また本寺は高台の端に位置しているため、天候がよければ富士山から奥多摩の山々が一望できる。
(2013年10月掲載) 地図
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