玉川上水駅から徒歩8分。楽器学資料館が学部授業の開講期間の水曜日(9:30〜16:30)に一般公開するというのででかけた。
同大学に入ると右側に「活躍する在学生・卒業生」という掲示板があり、名前がズラリと並んでいた。
同資料館のある4号館に向かって構内を歩くと、どこからかピアノの音が聞こえてきた。
すれ違った学生のひとりはトランペットを、もうひとりはホルンを抱えている。
次の教室に移動するのだろうか、背中にサーモンピンクのケースを背負った女子大生が走り去っていった。ケースの形から中はバイオリンかな。
楽器学資料館は5階にあった。手荷物を廊下のロッカーに入れて、入り口のドアを押すとさわやかなドアツィターの音が出迎えてくれた。
開館日ガイドツアーを依頼する。展示室は入って右側がグランドピアノ等が並ぶヨーロッパの楽器、左側が世界各国の楽器で、所蔵楽器約2,400点。
その内の約1,100点を展示しているそうだ。
「楽器の保存のために室温は常に20度に保たれています」とガイドさんが教えてくれた。
右側のヨーロッパの楽器ではスクエアピアノ(テーブルピアノ)が目を引いた。
長方形のふたを持ち上げるとピアノということがわかるけど家具のように美しい。
小型のアップライトピアノが実用化される前のキャビネットピアノ(19世紀)は初めて見た。グランドピアノを垂直に立てたような形をしている。
床面積を取らずに、グランドピアノのような豊かな音の響きが得られる事を目的につくられたが、背の高いアップライトピアノは安定性が悪く、
演奏者の視界をさえぎってしまうなど欠点があり、小型アップライトピアノが開発された。
パイプオルガンは模型も含めて数台あり、その仕組みがよくわかり面白い。
世界各地の楽器は、太鼓と一口で言っても、なべ型、ワイングラス型、たる型といろいろだ。
ウグイスなど鳥の鳴き声の笛が自由に吹けるコーナーは子どもやお年寄りに人気。実奏できる楽器もあり、親子で楽しめる。
常設の試奏用楽器のほかに、公開日にあわせてさまざまな鍵盤楽器の試奏が用意されている。
たとえば2月16日は1971年制作のヴァージナルの試奏ができる。都合で試奏楽器の変更がある時があるので事前に問い合わせを。
楽器収集は昭和41年からで、ルネッサンス・バロック音楽の演奏研究に必要な楽器の購入から始まった。
だからいわゆる名器や骨董的なものよりは、地域的、年代的に偏りのない系統的な収集がなされている。
■問合せ/TEL:042-535-9574 国立音楽大学 楽器学資料館 (立川市柏町5-5-1)
(2011年2月掲載) 地図