小さな散歩道

龍津寺(りゅうしんじ)の湧水(ゆうすい)  昭島市拝島町

 

  JR拝島駅南口から、拝島停車場通りを歩いて約25分、奥多摩街道との交差点を左に曲がると間もなく、「玉水禅窟」と書かれた額を掲げる黒塗りの門に出会った。右手の石碑には「曹洞宗 龍津寺」と赤く彫られている。
  やや細長い参道を進むと右手に、やはり黒塗りの山門が現れた。特に額などはないが、両側に連なる白塗りの塀が目を引く。境内に入ると、一角に「市指定有形文化財 龍津寺本堂天井板絵五十五面及び杉戸絵十六面」と書かれた金属の説明板があった。それによると天井板絵は竜図を中心としたヒマワリ、オモダカなど花の絵と、犬、猿などの鳥獣図だという。この日、本堂はあいにく窓が閉まっていて、中の絵を見ることは出来なかったが。
  山門を出て墓地伝いに右の坂道を下りて行くと、水路の上に掛かる橋に出た。水路は幅2〜3メートルで、水量はたっぷり。深さ50センチほどだろうか。お寺側の対岸は、とてつもなく大きな岩が組み合わされた石垣だ。その合間からは、ナンテン、カエデ、アジサイ、アヤメなど、季節の草木や花が顔を出しており、とてもにぎやかだ。流れは時に緩やかになり、大きな鯉が群れをなしている。
  水路の途中の岩からは、清水がわき出す湧水口も何カ所かあって、東京の名湧水57選にも入っているようだ。流れにせり出した台にはベンチもあって、休むにはぴったり。
  水路の終わりは「幸福橋」という橋だった。 
(08年7月掲載)  地図


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