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2年ほど前のこと、多摩川に掛かる多摩大橋を、初めて歩いて渡ったことがある。「大橋」と名がつくぐらいだから、さぞ立派な橋だろうと思っていた。実際に渡り始めて気が付いた。歩道は幅せいぜい50センチ余りだろうか。それほど狭く感じた。人が一人通るのがやっと。すれ違いもままならない。車道は片側2車線で、すぐ脇を車がびゅんびゅん飛ばして行く。渡りきった時は正直ほっとした。
その多摩大橋がこの10月に新装なったと聞いて、行って見た。青梅線中神駅を出て、江戸街道から「八王子」方面へ向かう道路を歩くこと約25分、新奥多摩街道を越えると間もなく、アーチ型の建造物が見えて来た。
近づくと、車道は片側2車線のままだが、以前よりはゆったりしているように思える。遠くからも見えるアーチ型は深紅に塗られ、輝く太陽が反射して、まるで巨大なダイヤモンドの指輪を橋の上に立てたようだ。見ようによっては、虹の橋に見えるかもしれない。
何といっても変わったのは歩道だ。幅は3メートル余。以前のコンクリートむき出しとは違いベージュや、白、グレーなどカラフルなタイル張りだ。車道との間に頑丈そうなガードレールも取り付けられている。これなら行き交う車を気にせずに渡れるだろう。
そのせいだろうか。家族連れや夫婦連れ、お年寄りたちがカメラ片手に、散歩のように気軽に渡っていた。歩道は途中でちょっとせり出していて、そこへ来ると川の流れがよく見える。川面を渡る川風が心地よかった。
(07年12月掲載) 地図
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