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青梅線昭島駅南口から大師通りを歩いて20分余り、背の高い樹木が林立する神社の裏手に出た。 左側には拝島大師。その間の坂道を降りて正面に回った。
そこには朱塗りの柱に立派な屋根を載せた「大日堂仁王門」が、どっしりと構えていた。 昭島市指定有形文化財だそうで、門の中の金剛力士像は都指定有形文化財とのこと。金網越しにのぞいてみると、 見上げるような仁王像は、怒りの表情はあるものの、比較的穏やかな顔をしているように思われた。
仁王門をくぐると、広々とした境内だ。細めだが、水路も通っている。その上に掛かる石製の橋を渡って境内を進むと、 正面に石段があった。大日堂の本殿はその上だ。石段の手前左手に池が見えた。 澄み切った水の中に大きなコイが悠々と泳いでいる。池には、石段の手前右手から別の水路が注いでいる。 その水路に面してこじんまりした「ほこら」が建っていた。その中に石組みの浅い縦穴がある。 底にはわずかだが、水をたたえている。脇に立つ説明板に「おねいの井戸」とあって、市の旧跡に指定されているとのこと。 それによれば、室町時代の末期(400年余り前)滝山城主北条氏照の家臣が娘おねいの眼病の治癒を祈って この井戸の水で目を洗ったところ、直ったと言い伝えられているそうだ。
帰り際、水路の水源となっている湧き水を見た。石垣の下からこんこんと湧き出る水を眺めていると、 その昔、あの井戸もこんな風に豊かな清水の源だったのだろうと思えた。
(2007年2月号掲載) 地図
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