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樹木に覆われた加賀塚は公園の奥にある
日野駅の駅前ロータリーから伸びる大通りを北に進み、駐輪場の角を左に曲がると、住宅街の中にある加賀塚公園(1088u)に着いた。
園内に入ると、入口近くに長い首のキリンの滑り台があった。キリンが地表の草を食べるように首を折り曲げた姿がなかなか可愛らしい滑り台だ。この存在感のある滑り台は、滑り降りる部分がローラーになっていて、子どもたちは楽しそうに滑り降りていた。その傍らには藤棚とベンチがあり、手前には円形の砂場がある。近くには新幹線と眠たげな表情をしたキリンの乗り物遊具も置かれていた。
公園の中央には、円形うんていと組み合わされたトンネル型滑り台があり、こちらも子どもたちには人気の様子。住宅街の一角にある小規模な公園だが、この日は多くの親子連れの姿があり、小さな子の手を引いて遊ばせるお母さんの姿が印象に残った。
公園奥には大きな木(エノキ)が茂った場所があり、その手前には「市指定史跡・加賀塚(竹間加賀入道の墓)」という案内板が建っていた。竹間加賀入道とは、戦国時代、小田原北条氏に仕えた武士であり、日野本宿に住み、日野に知行地を有していたという。豊臣秀吉が関東に兵を進め、北条氏と交戦状態に入った天正18年(1590年)2月、この地で切腹したと伝えられている。
少し盛り上がった木の根元には自然石の墓があり、その手前には「加賀塚」と書かれた供養墓碑と、「四百年の霊神ここに奉る」と書かれた石碑が建っていた。季節柄、園内の他の木々は枯れてしまっているが、加賀塚の木だけは青々と茂っている。大きく伸びたこの木は枝を四方に伸ばしており、あと少しで公園の敷地から飛び出しそうだ。加賀入道の念のせいではないのだろうが、なんだか生命の逞しさを感じさせる樹木である。
遊具が置かれたエリアでは、子どもたちが古墳があることを知ってか知らずか、声を上げて走り回っている。子ども向けエリアの奥にこうした歴史的な場所がある構造の公園だ。
帰り際、大通りを渡り、近くの薬王寺に寄っていった。立派な本堂の手前にいるお地蔵様にあいさつをして、隣の四ツ谷前公園で足を休めた。
(2019年2月掲載) 地図
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