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モノレール柴崎体育館駅から多摩川に向かって歩いて5分のところに立日(たっぴ)橋がある。立川市よりの橋のたもとにトンネルがあり、そこの内壁に素敵な絵が描かれていると読者から聞いた。晴れた日に行ってみると一枚がたたみ一畳ほどの大きさがあり、トンネルの両側に8枚ほどペンキで描かれていた。
冬の富士山、灯りを点滅させて夏夜空に舞う蛍、柳の下で魚を狙うカワセミ、夕日にオレンジに染まる秋のススキのはら、桜の花びらと戯れるサギ、紅葉したもみじの葉とカモの家族、入道雲に向かって勢いよく飛来するツバメ。その中に、宮澤賢治の詩「雨ニモマケズ」が立派な筆致で書かれていた。落書きにしてはきれいだ。誰が書いたのだろうか。
立川市に聞くと、同場所の管理は東京都だという。都の北多摩北部建設事務所によると、作者は近くにあるNPO法人「東京賢治の学校」の生徒と保護者だという。同学校はシュタイナー教育と宮沢賢治の精神が融合した日本に根ざしたシュタイナー教育を実践する学校として知られる。
学校の話では、トンネル内に絵を描いたのは5年ほど前。以前同トンネル内は落書きがひどく、学校に通学する生徒にとっていい環境とはいえなかったという。そこで、東京都に許可をもらい書かせてもらったそうだ。それからは落書きがなくなったという。同トンネルは道路の下をくぐっているので出口も入り口も坂道だ。自転車が勢いよく通り抜けるので、ガードレールの中から見ないと危険なので注意してほしい。
立日橋から日野橋方向に多摩川に沿って遊歩道を歩いた。ススキや黄色い花をつけるセイタカアワダチソウが河原を飾る。立川市錦町下水道処理場の脇道を新奥多摩街道方向に歩くと、日野の渡し碑がある。江戸時代から立日橋ができる大正15年まで、人はここから日野市(現)へ船で渡っていたのだ。この辺りの賑やかだった当時がしのばれる。
(2011年12月掲載) 地図
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