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豊田駅南口から徒歩約10分。同駅の南東400メートルのところで日野台地が一段下がっている。日野市立中央図書館下はこの崖線にある。図書館の裏の庭を突っ切って石段を下りたところに鳥居があり、その脇を湧水(ゆうすい)が流れている。
崖下は丸太で保護され、その丸太の間から豊富な湧水が湧き出ていた。水路で汚れたシートを洗っていた近所の農家のおじいちゃんに聞くと、カワニナもいて夏にはホタルが飛ぶそうだ。「湧水は温度が夏も冬も同じ。だから冬は暖かく、夏は冷たくて気持ちがいい。スイカを冷やすのに最適だ」。崖の上の樹木が日陰になってくれるから、夏でも涼しい。水路の水は浅く透き通っているから、子どもたちの絶好の水遊び場だ。さらさら、さらさらと、湧水は勢いを増し、音を立てて、道路下を横切り浅川に流れ込む。
2003年東京の名湧水57ヶ所に日野市から3ヶ所の湧水が選ばれた。黒川清流公園湧水群、小沢緑地湧水とこの中央図書館下湧水群が選ばれた。これをきかけに、市民達は貴重な財産である湧水の保全に力を入れようと呼びかけている。
日野市内の180ヶ所の湧水地から出る水の量は夏季で1日に12,000トン。市内の用水路の総延長は17キロ、まさに「湧水のまち日野」だ。これらの豊かな水を使ってかつて水田がつくられ、日野市は東京の穀倉地帯と呼ばれていたそうだ。
図書館の庭には高い樹木が生い茂り、ベンチで、崖下の湧水を通った涼しい風に吹かれながら読書を楽しむのも風情があっていい。
■問い合わせ/日野市環境共生部緑と整流課 TEL 042-585-1111
(2010年6月掲載) 地図
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