しごと日記Q&A編
通信販売などで買い物をする機会が増え、以前より『訳アリ品』と呼ばれる商品を目にすることが増えてきました。出荷過程ではじかれた規格外サイズの農産物や、製造時に出るお菓子の端の部分の切り落としなど、様々な事情から正規ルートで出荷できないものが、産地直送、メーカー直送品として割安な価格で販売されています。
そんな中でも、製造過程で割れたり欠けたりした煎餅の『訳アリ品』は『久助(きゅうすけ)』と呼ばれます。江戸時代、筑前(今の福岡県)秋月藩の幕府献上品だった葛『久助葛』は、江戸市中でも評判を呼び、葛そのものを『久助』と呼ぶこともありました。元来、割れたり欠けたりした煎餅のことは『屑(クズ)』と呼んでいて、これを『葛(くず)』とかけて久助と呼ぶようになったともいわれています。
「昔は、印刷工場からASAに運ばれてくる新聞にも、お客様の元に配達するのを躊躇してしまうような『訳アリ』新聞が混ざっていることがあったよ」とベテラン社員。
今はほとんどありませんが、かつて輪転機などの印刷工場の機械の性能が今ほど良くなかった時代には、裁断ミスでページの端が切れていたり印刷がずれていたり、という訳アリ品があったそうです。配達準備中に気づけば、ASAのスタッフがきれいな新聞と差し替えますが、特に朝刊の配達準備は時間との勝負で、一部ずつの検品に手間取ると、配達出発前からくたびれてしまったようです。
配達中にも『訳アリ品』は発生します。まだ配達に慣れないうちは、朝刊配達時の暗がりの中でバイクを倒してしまったり、バイクの前かごから新聞を引き抜く時にひっかけたりして新聞を破ってしまうことがあります。きれいな新聞と取り換えてお届けするよう指導していますが、破損に気づかずに配達してしまうこともあり、後で店長から大目玉を食らいます。「新聞配達は気配りが第一だ」。店長の口癖です。
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