続・しごと日記 〜新人君は見た!〜
[10] お正月 (2007年1月号掲載)
あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
さて、皆様はどんなお正月を迎えられたでしょうか?
真夜中に出かけることの多くなるお正月は、ひょっとしたら1年のうちでいちばん「新聞屋さんの朝刊配達」に遭遇することの多い日かもしれません。
だいぶ仕事に慣れてきた我らが新人君も、元旦の配達は、てんてこ舞い。
そんな新人君の「一年で一番あわただしい日」の日記をのぞいてみましょう。
12月31日
29、30日と2日続けて折込みチラシの作成作業だった。
年末の2日間で、30日・大みそか・元旦と正月3日・4日の分まで作り置きしておく。通常なら翌日の分しか作らないんだけど、広告会社や運送会社も正月休みに入ってしまうので、先送りされてきた折込み広告を作っておくのだそうだ。
2日間、従業員総出ですべて作り上げる。29日から正月の3日までは夕刊がないから、こういった作業もできる。
それにしても、なんて厚くて重いんだ・・・。
折込み広告も最近では若干減っては来ているものの、それでも1年でいちばん多いらしい。そして何よりも「増ぺ」っていう別刷り(三が日のテレビ番組なんかが載っている)の量がすごい。いつもの別刷りより厚いのが何種類もある。「元旦の朝刊は、週刊誌くらいの厚さになるんじゃないですか?」って先輩に聞いたら、「一昔前は電話帳くらいの厚さがあったよ」と言っていた。
これだけ厚いと結構配達に時間がかかってしまう。ぼくみたいな、不慣れな配達員のためなのか、元旦の朝刊はいつもより1時間以上早く販売店に届くんだって。
帰省や旅行で配達を休んでいるお客様も、ものすごく多くて、こりゃ元旦の配達はとんでもないことになるぞ……。そんなことを考えていたら、先輩から言われた。
「元旦の配達は疲れるんだから、さっさと帰って休んでおけ」
1月1日
今まで元旦から仕事をするなんて考えたことがなかった。
仕事をしながら年越しを迎えるなんて……。でも、よく考えてみると、ぼく達だけが働いているわけではない。
いつもなら作業台の上でやっているチラシを新聞に折り込む作業も、今日は床や店舗の玄関口まで使ってやっている。どこを向いても新聞とチラシの山、山、山……。足の踏み場もない。「あけましておめでとう」の声が作業場のあちこちから聞こえてくる。
バイクに新聞を積もうとするけど、厚くていつもの半分くらいの量しか積めない。いつもは1〜2回の往復で済むんだけど、今日は6回も往復をした。配達していても、厚すぎてポストになかなか入らない。余計にあせる。
結局、終わった時間は朝7時。いつもより1時間半も余計にかかったが、何とか終わった。
店に戻ると、店長や先に配達を終えた先輩たちが「お疲れさま」と待っていてくれた。
朝刊の配達が終わると、お昼ごろまで、みんなで新年会。やっとお正月が来た感じだ。
元旦の配達は、台風や大雪の悪天候、大事件や選挙速報なんかの記事が載っているときと同じくらい大変で、だけど、それ以上にやりがいを感じる一日なのだそうだ。酔っ払いながら先輩が言っていた。
とりあえず「一年で一番大変」な元旦の配達が終わり、2日は休刊日で休み。ただし、普通の休刊日と違って、1月2日は朝夕刊ともに休刊だ。こんな日は年に一回だけだ。3日は朝刊のみ。4日から通常通り、朝夕刊の配達が始まる。
今年も1年がんばっていこう。
――そんなことを考えながら、寝正月に突入する新人君でした。
無事、新年を迎えた新人君ですが、正月を過ぎるといよいよ寒さも厳しくなってきます。
我らが新人君、この寒さを乗り越えることができるのでしょうか?
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