しごと日記Q&A編

  新聞屋さんの特権として、出来上がった新聞を配る前に最初に読めたりするのですか?
(2023年8月号掲載)

  〈ふるさとの訛なつかし停車場のひとごみの中にそを聴きにゆく〉
  石川啄木の歌です。3年以上に及んだコロナ禍の下では、旅行はもちろん、盆暮れの帰省もままならないという状況が続きました。当ASAでも、ここ数年、地方出身のスタッフたちから「地元の親戚に止められてなかなか帰省できなくって・・・」という話を度々聞かされてきました。
  最近では「今年の夏はようやく里帰りができます」と、うれしそうな顔で話してくれます。久しぶりに「ふるさとの訛り」も堪能してきてほしいところです。

  一方で、日々の新聞配達に穴を開けないためにも、スタッフ全員が一斉に夏休みを取ることはありません。混雑するこの時期を外して、秋や年明けに帰省する予定を立てているスタッフも多いようです。

  そんな「居残り組」も、この時期は特に高校野球での母校の活躍や、各地で続いた豪雨や水害の状況など、故郷のニュースが気になります。深夜、トラックで印刷工場から運ばれてきた新聞を受け取ると、すぐにでもスポーツ面や社会面を開きたくなることもあります。でも我慢です。新人君たちも、日頃からベテランの先輩スタッフからは口酸っぱく言われています。

  「配達前の新聞は大切な商品だから、絶対に開いて読んだりしちゃだめだよ。一度開いてしまった新聞は、ページの間に空気が入るし摩擦も働くから、なかなか元の状態には戻せないからね」。
  どんなに気になる記事があっても、配達を終えて自宅に戻ってから、ポストに届いている新聞をそっと開きます。

  本日8月6日は、第105回全国高等学校野球選手権大会、いわゆる夏の甲子園も開幕します。

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