しごと日記

雨の日の話  (2008年7月号掲載)

 梅雨真っただ中、ASA泣かせの季節です。この時期、読者の皆様から寄せられる声に「新聞が雨にぬれて読めない」というものがあります。新聞をぬらさずにお届けする――それが私たちの仕事ですから、皆様にはご迷惑をお掛けしていることになります。
  雨の日は、ビニールで包装した新聞をお届けする場合があります。すべてのお宅にビニール包装した新聞をお届けできれば良いのですが、実際にはなかなか難しいことです。その理由は、環境保護や配達時間の問題などです。
 雨天用のビニールは、機械で包装する半透明のビニールと、手で袋詰めにする白いビニールの2種類があります。皆様がよくご存知なのは、半透明のビニールで包装した新聞でしょう。これは、新聞を入れるとビニールに包まれた状態で出てくる便利な機械を使っています。この機械は15年位前に量産されるようになりましたが、1台50万円ほどかかり、置く場所も限られているため何台も購入できません。また、1本1000円する500mのロール状になっているビニールは、1回の配達(朝刊と夕刊)で2本(広げると1km)、1ヶ月で平均20本(10km)使用します。ちなみに費用は1ヶ月2万円かかります。スーパーのレジ袋が環境保護の立場から問題になっている中、新聞のビニール包装についても賛否両論あるのが現状です。また、販売店に新聞が届いてから1部ずつビニール包装をするため、1分間に出来るのは80部ぐらいです。当ASAにある2台の機械をフル稼働しても、配達しているすべての新聞をビニール包装すると、1時間以上配達に出発する時間が遅れてしまいます。
 このような様々な観点から、当ASAでは、できるだけビニール包装をせず、ぬらさずにお届けする努力=「配達のプロとしての技」の追求をしています。
 ただ、配達途中で急に「にわか雨」が降り出したり、ポストの状態によっては雨で新聞がぬれてしまうことが予想される場合もあります。そういう場合は、配達先で白いビニールに手詰めしたり、玄関先までお届けすることもあります。

 最近は、スタッフ紹介で紹介しているような「現代っ子」たちは、なかなか行き届いた配達が出来ないのが現状です。それどころか、雨でタイヤを滑らせてバイクを倒し、配達する新聞を泥だらけにしてしまうことさえあります。そんな時は、近隣の販売店に予備の新聞を分けてもらったり、印刷工場まで新聞を取りに行ったり、場合によっては駅の売店に買いに走ったりと、「てんてこ舞い」で新聞をかき集めます。配達技術の低下のせいか、こういう「てんてこ舞い」も以前に比べて増えてきています。読者の皆様には大変ご迷惑をお掛けしていることと思いますが、迅速・確実・丁寧な配達を目指し、「配達のプロとしての技」を磨いていきたいと思います。

 さて、こうして雨の中での配達が終わると、今度は夕刊の配達に備えてかっぱを干し、しばしの休息に入ります。無事配達が終わったという安堵と疲労のため、ぐっすり眠れます。

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