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奥多摩街道を立川市方面へ歩いて行くと、富士見町4丁目あたりで、街道沿いに幅50〜60センチの水路が流れている。 水量は豊富で速い。江戸時代に玉川上水から引かれた「柴崎分水」だ。分水口からは公園や道路の下を暗渠でくぐり、 この辺で地表に出るらしい。
分水近くで商店を営む男性は、「昔は用水でダイコンを洗ったり、米を研いだりしたものだ。蛍もいたし。 暗渠になって、面影がなくなってしまったね」と、往時を懐かしがる。
水路に沿ってしばらく行くと、民家の庭先で見失った。再び姿を現したのは、下をJR中央線が走っている斜面の上。 その中央線を、水路は樋(とい)のような橋でまたいで流れている。反対側に渡った水路は、住宅地や道沿いを、 時には暗渠となって進んで行った。今でも末端で、水田を潤しているという。
その分水から歩いて約2分、住宅街の一角に四方を木の柵で囲まれた老木がポツンと立っていた。 「八幡神社の大欅」だ。昭和30年に、市指定の天然記念物となった。
説明板によると、建長4年(1252年)の八幡神社創建時に植えられたとあるから、樹齢750年ほどか。 神社は明治期に移転して、木だけが当時をしのぶものとなっている。
幹回りは約6メートル、かつて高さは28メートルあったそうだが、台風で上部が折れてしまったとのこと。 幹には割れたように見える個所もあり、ちょっと痛々しい。それでも根本から生えた枝が芽をつけ、 「どっこい生きているんだぞ」と訴えているようだった。
(05年1月掲載) 地図
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